大会長挨拶
第29回山形県臨床工学会を10月26日に山形大学飯田キャンパスにて開催いたします。今大会のテーマは「担う」〜タスクシフトで切り拓く未来〜といたしました。昭和62年に臨床工学技士法が交付されてから、今年で38年になります。この間、私たち臨床工学技士を取り巻く環境は大きく変化し、業務はますます多様化してまいりました。先人たち、私たちがこれまでの業務を柔軟に真摯に対応してきた結果、臨床工学技士は現場に欠かせない立場を確立してきたと感じています。
そして昨今では、医師の働き方改革の影響を受け、医師のタスクシフトが重要なキーワードとなっています。この影響で臨床工学技士法の一部改正が行われ、臨床工学技士に新たに与えられる業務が拡大されたのも記憶に新しい出来事かと思います。しかし、我々がこれまで経験してきた殆どのタスクシフトは現場で実際に求められる中で担ってきたものであり、今回の法改正でのタスクシフトとは異なるものです。だからこそ、今後のタスクシフトのあり方について、現場の視点から再構築し、次なる法改正の礎として繋げていくことが重要だと思っております。また、これから日本は本格的な人口減少社会に突入し、医療現場でも担い手の不足という深刻な課題に直面していきます。まさに今、私たちは「担う」という言葉の重みと真正面から向き合う時代にあります。
本学会では、さまざまなご発表やご講演を通して、これからの臨床工学技士の在り方、そしてタスクシフトが拓く医療の未来について、多角的に議論を深めていただければと願っております。また、山形大学医学部は令和5年に創立50周年を迎え、50周年記念講堂が整備されました。自施設で本大会を開催できることを嬉しく思っております。大学と病院が同敷地内にあるユニークな雰囲気を感じながらより良い会にしていただけたらと思います。
最後に、大変貴重な機会を与えていただきましたことに深く感謝し、大会長として謹んでご挨拶申し上げます。
山形大学附属病院
MEセンター
八鍬 純